サードインパクト発生

シンジ、アスカ以外の全てがLCLに

未完ながら

人類補完計画

完了

アスカ

「気持ち悪い」

第一声

シンジ

「う、ううう…」

望んだ世界を悔やんだ

「……」

「……」

二人たたずむLCLの浜辺

碇クン…碇クン…

レイ

補完計画の要

だが

碇クンが呼んでる

計画を拒否

「……」

「……」

二人たたずむLCLの浜辺

何を望むの碇クン?

人形から人間へ

碇クン

「……」

「……」

二人たたずむLCLの浜辺

碇クンの願いは何?

暖かい心

碇クン

「……」

「……」

二人たたずむLCLの浜辺

綾波…

少年の少女への思い

僕は…僕は…

碇クン…

綾波に会いたい…

私も…

そして人々はLCLから…

世界は無から…

戻る

綾波…

碇クン…

 

 

 

 

 

後ろのレイ

 

 

 

 

「う、ううう…綾波、どこ行ったんだよ」

 第3新東京が見渡せる丘、シンジは街を見ながら涙を流していた。

「綾波…綾波…会おうって言ったじゃないか。う、ううう…」

 男が泣くのは見っとも無いと思っているのだが止めど無く涙が溢れる。

「う、ううう…」

 サードインパクト後、アスカと二人だけの世界でシンジは約束をした。アスカとの約束ではなく、レイと会う約束を。

 その後、世界は何事も無かったかのように元に戻った。人々は戻り、ゼーレは消滅、ネルフは規模は半減したが無事。

 シンジも普段通りに葛城家に住んでいた。全ては平和、全員戻ってきた。一人を除いては…綾波レイである。

「綾波、綾波…」

 約束してからシンジはレイを探した、だが見つからなかった。毎日、毎日、だが見つからなかった。

「綾波、綾波、綾波〜〜〜〜!!

 悲しみの叫びが木霊する。しかし叫んだところでレイに会えるわけが無い…

 

 

「…碇クン、呼んだ?」

「えっ?」

 聞き覚えのある小さな声が背中から聞こえた。シンジは振り返った。

綾波!

「碇クン…」

 振り向いた先にはレイが立っていた。いつもどおりの制服を着て。

「綾波、綾波なんだね?」

「うん…」

 レイは小さく返事をすると頷いた。

「綾波〜!」

 シンジは嬉しさのあまり涙があふれ出た。そして感極まって抱きしめようとするが…

 スカッ!

「あれっ?」

 レイの体を通りぬけた。勢い余ったシンジはバランスを崩して倒れた。

「綾波!」

 スカッ!

「どうして?」

 何度レイを抱きしめようとしても体を通りぬけ空回り。

「碇クン、駄目なの」

「えっ?」

「世界を元に戻すときに力を使いすぎたみたい、自分の体までは戻せなかったわ」

「そ、そんな…」

 驚くシンジ、レイの体は見た目は普通であるが触ろうとすると通りぬけるのである。

「そんなのってないよ」

「いいの、こうして約束通り碇クンに会えたから」

「綾波…」

 にっこりと微笑むレイ、だが本心は…

(しくしく、碇クンと一つになれない、しくしく)

 …泣いていた。

「綾波、帰ろう」

「えっ?どこに」

 レイのアパートはすでに壊されており平地になっていた。

「心配無いよ。ミサトさんに言ってあるんだ、綾波が帰ってきたら皆で一緒に住もうって」

 レイとのやり取りをミサトに話し、これからの生活の事をどうするかと会議をした。レイも一緒に住む事はミサトは快く承諾したがアスカは猛反対であった。だがシンジの猛烈な説得により渋々ではあったが承諾した。

「ミサトさんとアスカには許可を取ってあるんだ。帰ろう」

「うん」

 こうして二人は再開を喜び、家に帰っていった。シンジは歩いてレイはふわふわと浮いて。

 

 

 

 

「ただいま〜」

「お…お邪魔します」

「駄目だよ。今日からここは綾波の家になるんだから」

「…うん、ただいま」

 レイの言葉にシンジはにっこりと笑った。

「お帰りなさい」

 二人はリビングへ向かった。リビングではアスカとペンペンが寝そべりTVを見ながらお菓子を食べていた。

「あ、また食べてる」

「いいじゃないの美味しいんだから」

 シンジを見ないで黙々とポテチを食べるアスカ、TVに夢中である。

「アスカ、綾波が帰ってきたんだよ」

「えっ?ファーストが」

 アスカは振り向いた。だがそこにはシンジしか居なかった。

「はあ〜?何言ってんのよ。アンタしか居ないじゃない」

「アスカこそ何言ってんだよ。綾波はここに居るじゃないか」

 シンジの隣にはレイが居た。

「シンジ…アンタ…頭大丈夫?」

「な、大丈夫に決まっているだろ」

 からかわれていると思い、怒りが込み上げてくる。だが喧嘩になると負けるのであえてしない。

「碇クン、話したいことがあるの部屋に行きましょう」

「えっ?うん」

 シンジはレイに言われて部屋に戻っていった。

「なん〜〜か変なものでも食べたのかしら?」

 アスカはシンジが誰も居ない方に向かって喋っているのを見て首を傾げた。

 

 

 シンジの部屋、シンジは床にドカッと座ると先ほどのアスカの態度が腹立たしかった。

「まったくアスカは、そんなに綾波と暮らすのがイヤなのかな」

「違うわ」

「何が?アスカは君が居ない振りをしたんだよ」

「アスカには私が見えていないの」

「えっ?」

「わからないけど私の姿は碇クンにしか見えないの」

 どうしてなのか?それはLCLを元に戻す時にパワーを必要以上に使ったからである。

「そうなんだ…」

「ええ、でも碇クンに見えているなら…かまわないわ ぽっ」

 ふわふわ浮いて頬を赤らめる。

「綾波…」

 見詰め合う二人。

 

 

 

「クエクエ」

 リビングで先ほどから寝そべっていたペンペンが立ちあがり、髪をかきあげる仕草をするとペタペタと歩き出した。

「クエクエ」

 そしてシンジの部屋の襖を開けた。

 

 

 その頃シンジの部屋ではちょっと良い雰囲気であった。

「碇クン…」

「綾波…」

 見詰め合う二人、そして二人は抱きつい…

 スカッ!

「あれっ?」

「あら?」

 実体が無いのを忘れていた。そのかわり…

 ガシッ!

「クエクエ」

「わっペンペン」

 ペンペンが抱き付いてきた。

「クエクエクワ〜〜〜」

「ど、どうしたんだよペンペン、くすぐったいなあ」

 傍目から見たらペンペンとじゃれるシンジに見えるのだがレイには違った。

「なっ…フィフス」

「ふっ見つかってしまったようだね」

 すうっとペンペンの背中から煙が出るように登場したのはカヲル、渚カヲルである。

「どうして、あなたが?」

「ふっ君と同じさレイ君」

「綾波どうしたの?」

 レイの驚きにシンジは不思議に思った。シンジにはカヲルが見えていない。

「ペンペンが…」

「おっとレイ君、シンジ君には黙っていてくれたまえ、シンジ君に僕の姿は見えないんだ。君が僕が居ると喋ってしまえば見えない僕に悲しむと思うよ」

「どうしたの?綾波」

「なんでもないわ」

 確かにカヲルの姿が見えないとシンジは悲しむだろう。また見えたとしてもライバルが増える事になるので言うのをやめた。

「ペンペン、くすぐったいよ」

「クエクエ」

 ペンペンに乗り移っているカヲルはしつこくシンジに頬擦りをしている。正体を知っているレイはその行為が腹立たしい。

「フィフスもう離れて、シンジ君が嫌がっているわ」

「どうしてだい?シンジ君は喜んでいるよ。ふふふ」

「……」

 レイのこめかみに怒りマークが浮かんだ。そして離そうとペンペンを掴むが…

 スカッ!

「掴めない…」

「ふふふ、無理だよ。君は修行が足りないね」

「修行?」

「そうだよ。リリンに乗り移る事が、上達するとね…」

 カヲルはペンペンから離れると襖を通りぬけて出ていった。

 

 

 

 ガラッ!

「シンジ君!」

「アスカ?どうしたの」

 シンジは驚いた。いきなり襖が開くとアスカがやって来た。そしてシンジを君付けしたのだ。

「会いたかったよ〜〜」

 ガシッ!

「な、アスカ!!!」

 いきなり抱きつき頬擦り、髪の良い香り、薄着でピッタリと密着しておりシンジは混乱して真っ赤になった。

「い、いきなりどうしたんだよ。アスカ?何か変なものでも食べたの?」

「ふふ、違うよ。嬉しいから抱き着いているんだよ」

「はあ〜?と、とにかく離れて」

 離れようともがくがアスカの中に入っているのはカヲル、男性の力である。

「フィフス、碇クンから離れて」

「どうしてだい?シンジ君は嬉しがっているじゃないか」

 確かにシンジの鼻の下が伸びている。

「ダメ〜〜〜〜〜」

 スカッ!

 アスカに乗り移ったカヲルとシンジを離そうと何回もするが、通りぬけてしまう。

「碇クン、離れて〜〜〜」

「ふふふ、無駄さシンジ君には聞こえていないよ」

「えっ?どうして」

「リリンとして未熟なのさ、ふっ」

きゃあ!

 アスカに乗り移ったカヲルがレイに息を吹きつけると、レイは紙切れのように吹き飛んだ。

「さあ、シンジ君!二人の世界へ」

 感極まるアスカに乗り移ったカヲル、だが…

 

 

 

「クエクエクエクエ」

 つんつんつんつん

 ペンペンのくちばしがアスカに乗り移ったカヲルの頭を攻撃した。

「碇クンは渡さないわ」

 ペンペンに乗り移ったレイ、キッとアスカに乗り移ったカヲルを睨みつけた。アスカに乗り移ったカヲルはペンペンに振り向きサッと髪をかきあげ呟いた。

「ふふ……君は僕と同じだね、リリス……」

「同じなんかじゃないわ。碇クンはノーマル、私との愛を選ぶに決まっているわ!」

「…ふふ、そうかい、だが僕は今弐号機パイロットの体を借りている、今は女性さ」

「うっ…そんなの知らないわ。弐号機パイロットの体は私が使う!」

 ペンペンの体から出るとアスカに入ろうとするが…

 スカッ!

「えっ?どうして」

 通りぬけた。

「ふふ、それはねレイ君。さっき言ったじゃないか修行が足りないってね。君のレベルだとペンペンに移るのが精一杯みたいだ」

「そんな…」

 ガックリと肩を落とすレイ。

(…体がペンペンにしか乗り移れないなんて…碇クン一つになれない…修行…でもその前にフィフスに取られる…しくしく)

「ふふ、悔しいようだね。ここは一つ武士の情けと云う事で、君が乗り移れるようになったら正々堂々と勝負しようじゃないか」

「えっ」

「ライバルがいた方が燃えるからね」

「負けないわよ」

 笑う紅い瞳と炎に燃える紅い瞳、こうして奇妙な同居、奇妙な戦いが始まった。


 リクエストSSです。まてりあ(仮名)さんから一周年記念CGを頂いたお返しのSSです。

 リクエストは『アフターEOE、すべてが終わって姿を消した綾波レイ。しかし、実は彼女は幽霊となって、シンジ君の背後に取り付いていたのです!! ばばーん!!シンジ君と今一度ひとつになる為に、ライバル達を妨害しつつ、ひそかに彼を自分と同じ幽霊にしようとする(<殺す)レイ。その姿を見れるのはシンジ君唯1人!妙に独り言の多くなった彼(レイと喋ってる)の危険な日常生活をつづったショート・ストーリー。シンジ君は生き残ることができるのか!?そしてレイの前に現れる最大のライバル!!「ふふ……君は僕と同じだね、リリス……」ペンペンの背後に浮かび上がる影――当然ながら、彼に足はなかった。』←メールから引用

 ってリクなんですけど描いたら…全然違う(^^;)能力の限界です。ゴメンナサイ<_>

 愛に燃えるレイちゃん、不純な?愛に燃えるカヲル君、二人の対決になりました。ちなみに続きませんのでご勘弁をば<_>

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 後ろのレイ